石川安藤総合法律事務所

相続欠格と廃除の条件と違い徹底解説

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相続欠格と廃除の条件と違い徹底解説

相続欠格と廃除の条件と違い徹底解説

2026/03/18

残念ながら、被相続人と相続人の間で深刻な問題を抱えている事案も散見され、「相続欠格」や「廃除」について相談を受けることがありますので、これらについて説明します。

相続における「相続欠格」と「廃除」は、どちらも特定の相続人が相続できなくなる制度ですが、その性質と適用条件には大きな違いがあります。一言でいうと、「相続欠格」は、法律によって定められた一定の行為がある場合に行為を行った続人が相続の権利を失う制度であり、「廃除」は「被相続人の意思」によって特定の相続人を相続から外す制度になります。

本記事では、弁護士の立場からこれら二つの制度の具体的な条件や違いを分かりやすく解説し、相続トラブルを未然に防ぐためのポイントを詳しく紹介します。相続問題に直面している方はもちろん、法律の専門家や関係者にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご一読ください。

目次

    相続欠格と廃除とは何か?相続の世界の基本を知ろ

    民法第891条は、相続人が一定の重大な非行を行った場合に自動的に相続権を失う「相続欠格」を規定しています。

    条文の概要

    「相続欠格」については、民法第891条に規定されています。

    「次に掲げる者は、相続人となることができない。」と規定されており、当然に相続人にはなりません。

    ① 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

    →いろいろ要件が付いています。

     「故意に」とされていますので、「過失」で死亡させてしまったような場合(致死)は欠格事由に該当しません。

     「死亡するにいたらせようとした」とされていますので、死亡の結果が生じていなくとも(未遂)該当します。

     「刑に処せられた者」とされていますので、疑われたが無罪となった場合は欠格事由に該当しますや責任能力がない場合は欠格になりません。過去の裁判例で争われたのは、刑事裁判では「執行猶予付き」判決だった場合です。

     

    ② 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

    被相続人の殺害を知りながら告発・告訴しなかった場合

    ただし、是非の弁別がない場合や、殺害者が自己の配偶者または直系血族である場合は除外されます。

    官憲に発覚した後に初めて事実を知った場合も欠格にはなりません。

    詐欺・強迫により被相続人の遺言を妨げた場合

    遺言の作成や内容に不正な影響を与えた場合。

    詐欺・強迫により被相続人に遺言をさせた場合

    遺言を強制的に作成させた場合。

    遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿

    ただし、被相続人の意思を実現するための形式的な操作や、相続に不当な利益を目的としない場合は欠格に該当しません。

    欠格の効果

    欠格事由があれば法律上当然に相続資格が剥奪されます。

    欠格者は**受遺能力(遺贈を受ける権利)**も失います。

    欠格者に子がいる場合は、代襲相続が認められます。

    欠格の発生時期は、相続開始前に事由が発生した場合はその時点、相続開始後に事由が発生した場合は相続開始時に遡って発生します。

    欠格の効果は特定の被相続人との間で相対的に発生します。

    まとめ

    民法第891条は、相続秩序を乱す重大な行為を行った相続人に対して自動的に相続権を失わせる制度です。被相続人の意思に関係なく適用され、遺言で欠格者に財産を相続させる指定があっても効力は認められません。これにより、公平な相続を確保し、相続秩序の維持を目的としています。

     

    相続欠格は、民法で定められた法定の理由により相続権を喪失するもので、例えば被相続人を故意に殺害したり、重大な犯罪行為を行った場合に適用されます。この制度は法律により自動的に相続権を剥奪するため、被相続人の意思は関係ありません。一方、廃除は被相続人の意思表示によって特定の相続人を相続から外す制度です。例えば、著しい虐待や重大な侮辱行為があった場合に、遺言や家庭裁判所の審判により廃除が認められます。廃除は相続欠格と異なり、被相続人の意向が重要であり、廃除の手続きを経なければ効力を持ちません。これらの制度を正しく理解し適切に活用することで、相続トラブルの予防に繋がります。法律の専門家としても、違いを把握し、具体的事案に応じた対応が求められます。

    相続欠格の具体的な条件とは?法律で定められた失格の理由を解説

    (相続欠格は、欠格事由という事実の存在により、法律により自動的に相続権を剥奪する制度であるのに対し)相続において「廃除」とは、被相続人が遺言または家庭裁判所の許可を得て、特定の相続人を相続から排除する手続きです。

     

    相続廃除については、民法892条が次のように定めています。

    遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

    「被相続人は」廃除を「請求することができる」とあるように、被相続人の意思が必要です。

    被相続人が、生前、推定相続人から、遺留分も含めて相続人の地位を奪う制度ですので、いわば(経済的な)「勘当」と言えるかもしれません。

     

    1 廃除の意思表示ができるのは被相続人だけです

    2 但し、具体的には、家庭裁判所による審判、又は審判に代わる裁判の判決という手続きを要します(意思表明だけでは足りません)。ただし、(被相続人の)遺言によることもできます。

    3 廃除の対象となるのは「遺留分を有する推定相続人」になります。兄弟姉妹は遺留分を有さないので、廃除の対象にはなりません。遺言で財産を全く渡さないことができます。

    4 廃除の対象となる推定相続人が、被相続人に対して、「虐待」「重大な侮辱」「その他著しい非行」などの事実があることが必要です。裁判所は、この要件を審理して審判等を行います(対象となる者の反論の機会があります)。

    5 「その他著しい非行」の例として、重大な刑法犯罪、被相続人の財産の浪費、無断処分、不貞行為、素行不良、長期の音信不通、行方不明など多種多様なものが考えられます。ただし、例えばちょっとした浪費で廃除が奏功するわけではありません。やはり勘当が相当と言えるようなレベルである必要があります。

    6 認められると、相続人から除かれ、遺留分の請求すらできません。一方、相続欠格と異なり、遺言の受遺者としての能力は失いません。遺贈もまた、被相続人の意思によるものですので、少しは財産を与えたいという許しなのかもしれません。なお、被相続人は廃除の取消しをいつでも又は遺言によって家庭裁判所に請求できます。

     

     

     

     

    相続欠格や廃除で悩んだら?専門家に相談するタイミングと方法

    残念ですが、特定の子が親を虐待する事案があり、他の子が憤慨している事案はかなりあります。遺言で、虐待等した子には財産を渡さないという対応もありますが、遺留分が残ります。改正法により、従前の遺留分減殺請求が、遺留分侵害額請求と、金銭請求に変わりました。せっかく不動産を相続させても、お金を請求され不動産を処分せざるを得ない場合もあります。もし、重大な虐待等あり、特定の相続人に財産を残したくない、特定の相続人に少しでも多く遺産を残したいと徹底的に戦いたいのであれば、早めに相続の専門家に相談することをお勧めします。

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