弁護士が解説する代襲相続の手続きと数次再転相続の実務
2026/03/11
父親が亡くなり、配偶者と子供が相続人のような場合の相続関係はシンプルです。
一方、先に子供が亡くなっていた場合にはどうでしょうか(孫がいる)?
ちょっと違って、父親の相続が発生した時には子供が存命中でしたが、遺産分割をする前に当該子供が無くなってしまった場合にはどうなるでしょうか?
今回は、代襲相続や数次・再転相続といった、少し複雑な相続関係になる場合について説明したいと思います。
目次
代襲相続とは?
代襲相続とは、本来の相続人が相続開始前に死亡した場合、その相続人の子や孫が代わりに相続権を受け継ぐ制度です。
例えば、被相続人Aの子Bがすでに死亡している場合、その子の子(被相続人の孫)Cが代襲相続人となります。この制度は、相続人Bが先に亡くなっていても公平に財産を分配するための重要な仕組みです。代襲相続の手続きでは、まず被相続人の相続関係を正確に確認し、代襲者の立場を明確にする必要があります。これにより相続人の範囲が確定し、遺産分割や申告手続きが適切に行えます。
数次・再転相続とは?
数次相続とは相続が連続して発生する状況を指します。特に(数次)再転相続が問題を複雑にします。
再転相続は、一次相続の法定相続人が「相続承認や放棄を決める前」に死亡し、二次相続が発生する相続のことです。
例えば、被相続人Aの子Bがおり、Bに配偶者Cと子D(被相続人Aの孫)がいる場合、被相続人Aが死亡すると、子Bが相続しますが、Bが死亡することでCとDがBを相続します。。
再転相続が発生したらどうする?実務での対応ポイントを詳述
再転相続は、相続人が相続開始前に亡くなっている場合に、さらにその相続人の相続人に相続権が移る状況を指します。実務上は複雑な手続きを要する場合があります。具体的には、被相続人の死亡後に一次相続人が死亡し、さらに二次相続が発生した場合、数次再転相続として取り扱われます。手続きでは、まず相続関係を正確に確認し、戸籍謄本などの書類で相続人の死亡時期や関係性を明らかにすることが重要です。その上で、相続分の算定や遺産分割協議を行い、遺産分割協議書や相続登記の申請を適切に進めます。数次再転相続に対応する際は、相続人の増減による遺産分割への影響や税務申告のタイミングにも注意が必要です。複雑な相続関係を整理し、トラブルを回避するために、専門家の助言を得ることが望ましいでしょう。
代襲相続と(数次)再転相続の例
祖父A
父(祖父Aの子)B
Bの配偶者C
Bの子(祖父Aの子)D
の例で説明します。
【代襲相続】
Aが死亡する前に、Bが死亡していた場合→Dが代襲相続人になります。Cは相続しません。
【数次・再転相続】
Aが死亡した後、Bも死亡してしまった場合です。Bの相続人であるCとDが相続します。この際、CとDが相続するのは、B固有の遺産だけでなく、AからBが承継した遺産(に関する権利)を含みます。特に、後者について、数次・再転相続として複雑な問題を生じることがあります。
再転相続に関する問題
数次再転相続に関する判例
父A、母B、子C、子Dの相続で考えてみます。Aが亡くなった後、遺産分割をしない間にBもなくなってしまった場合、相続人はCDだけになります。そこで、シンプルな事案であれば、結局AとBの合算した財産を2分の1宛の法定相続割合で分ければ公平ですので、それほど問題になることはありません。
しかし、父Aについて子Cに特別受益があったり寄与分があるなどして、父Aと母Bの相続をきちんと峻別して精算しなければいけないような事案があったとき、問題が顕在化します。前記のようなシンプルな事案であれば、あたかもCDがAから直接1/2宛承継したように処理しても何ら問題ありません(結果オーライです)。しかし、細切れに分析すると、父Cが死亡した瞬間、母Bが法定相続割合1/2、子CDが各1/4で相続し、母Bが死亡すると、子CDが子CDが各1/2で相続します。
例
父死亡 。
その後母死亡(数次相続)した場合。
父からの特別受益がある場合、父の相続と母の相続を「分けて」計算するのが原則です。つまり父から受けた特別受益は「父の相続」にのみ持戻し計算することとし、母の相続では原則として考慮しません。
なぜなら特別受益は 「被相続人から受けた生前贈与」を調整する制度であり、父からの贈与 は父の相続でのみ、母からの贈与は 母の相続で問題とするというものです。