石川安藤総合法律事務所

弁護士が解説する旧民法の相続割合

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弁護士が解説する旧民法の相続割合

弁護士が解説する旧民法の相続割合

2026/03/11

目次

    法定相続割合の変遷

    民法における法定相続割合は明確な割合が定められ、日本の相続制度の基本となっています。

    例えば、配偶者と子が相続人の場合、

    配偶者が法定相続分の2分の1、

    残りの2分の1を子どもが均等に

    分け合うという割合です。

     

    しかし、昔の民法では、この割合が異なっていました。

    昔の相続手続き(遺産分割)を放置したまま祖父母名義の不動産が残っており、現在の相続人(次の相続、次の次の相続による相続人が当事者となっているはずです)で遺産分割を行おうとする場合にも、各相続発生時の規定が適用されますので、注意が必要です。

    そこで、相続制度・法定相続割合の変遷について説明します。

     

    最初に現行の法定相続割合を確認します。

    (1) 配偶者+子

       配偶者:1/2

          子:1/2(1/2を人数で等分)

      例
      配偶者+子3人

      配偶者 1/2

           子 各1/3(1/2×1/3)

    (2) 配偶者+直系尊属(父母)  

      配偶者:2/3

         直系尊属:1/3(1/2を人数で等分)

         例
         配偶者+父母

         配偶者 2/3

         父母:1/6(1/3×1/2)

     

    (3) 配偶者+兄弟姉妹  

      配偶者:3/4

        兄弟姉妹:1/4(1/4を人数で等分)

     

    (4) 配偶者のみ

          配偶者が全部相続

    戦前は戸主制度

    戸主制度とは、明治時代の古い民法の下で採用されていた家を中心とする家族制度です。一家の長である「戸主」を中心とする家族・身分・相続制度です。
    明治時代にはじまり、戦後の 日本国憲法 と民法改正により廃止されました。

    「戸主」は、戸籍上の「家」の代表者です。

    相続に関係する点として、分家の許可があります。

    現行民法にはない制度としては(法律上の)「勘当」とか、「家督相続」による財産承継があります。また、「隠居」の制度もありました。


    「家督相続」は
    原則 「長男」が「単独」ですべての遺産を相続します。

    単に遺産の承継ではなく、戸主の地位・家の財産・(祖先の)祭祀などをまとめて承継しました。

     

    日本国憲法になると 男女不平、 個人の自由の制限などの理由から、1947年の民法改正で、戸主制度・家督相続は廃止されました。

     

    但し、最初に記載しましたが、家督相続時代の相続手続きを放置していた場合、その時点分の手続きは家督相続による手続きで考える必要があります。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    1947年の民法改正で始まった法定相続と相続割合

    【戦後1947年~1980年までの法定相続割合】

    1947年の家督相続制度の廃止により、配偶者や長男以外の子が法定相続人になることになりました。

    「法定相続人」が誰か?という点では現行の制度とほぼ同じになりましたが、誰が何割承継するか?という「法定相続割合」については、現行法と違いがありました。

    ⑴ 配偶者と子が相続人

     配偶者:1/3    ※現在の配偶者1/2

     子:2/3              子:1/2    とは異なっており、配偶者の権利が弱いことが分かります。

     

     例
     配偶者+子3人

        配偶者 1/3

       子        各2/9(2/3×1/3)

     

    ⑵ 配偶者と直系尊属(父母など)

     配偶者:1/2    ※やはり現行法の配偶者:2/3

     直系尊属:1/2           直系尊属:1/3と比べ配偶者の権利が弱いことが分かります

     例
     配偶者+父母

     配偶者 1/2

     父 1/4、母 1/4

     

    ⑶ 配偶者と兄弟姉妹

      配偶者:2/3   ※やはり現行法の配偶者:3/4

      兄弟姉妹:1/3                                   兄弟姉妹:1/4と比べ配偶者の権利が弱かったことが分かります

      例
      配偶者+兄弟4人

           配偶者 2/3

          兄弟姉妹 各1/12(1/3×1/4)

     

    やはり1947年~1980年までに発生した相続について、遺産分割手続きを放置しており、現在において遺産分割手続きを進める場合も、その手続き自体は当時の法定相続割合で考える必要があるので注意が必要です。

     

    1980年改正の民法における法定相続割合

    1980年改正で配偶者保護のため割合が引き上げられ、冒頭の現行法定相続割合になりました。

     

             1947年~1980年      現在

    配偶者:子        1/3:2/3        1/2:1/2

    配偶者:直系尊属     1/2:1/2        2/3:1/3

    配偶者:兄弟姉妹     2/3:1/3        3/4:1/4

    2013・2019年 改正

    【2013年改正】

    法定相続割合の例外的規定であった非嫡出子の相続の場合に関する規定※が廃止になり、非嫡出子と嫡出子の相続が同じ扱いになりました。

    ※ 改正前民法900条4号但書は

     非嫡出子の相続分=嫡出子の1/2と定めていました。

     例
     子が嫡出子1人、非嫡出子1人の場合、嫡出子2/3、非嫡出子1/3(非嫡出子は嫡出子の1/2)となっていました。現在は嫡出子1/2、非嫡出子1/2と平等になっています。

     

    【2019年改正】

    明治時代に制定された相続分野における民法の大改正と言われますが、法定相続割合についての改正はありませんでした。

    まとめ

    古い相続を放置すると、前記のような複雑な知識と計算が必要になります。

    また、古い戸籍まで大量に収集する必要があります。

    相続人の数も膨大になります。今まで見た事件では模造紙に家系図がびっしりになるケースも見たことがあります

    また相続人が特定できても住所が不明、連絡がつかないといった問題点も出てきます。

    そこで、今からでも遅くないので、放置している相続(特に不動産がある場合)は速やかな処理をするべきです。

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