養子と非嫡出子の法的権利関係徹底解説
2026/03/08
法律上の「子」に関する用語として「実子」「養子」「嫡出子」「非嫡出子」「認知された子」など様々な概念が出てきます。なんとなくは分かるという方も多いとは思うのですが、一度整理してみたいと思います。
目次
実子と養子、養子が有する権利義務
① 実子(じっし)
実際に血縁関係がある子どものことです。
分かりやすく言うと親と本当の「血のつながり」がある子です。
婚姻中に生まれた子(嫡出子)も、婚姻外で生まれた子(非嫡出子)も含みます
② 養子(ようし)
「血のつながり」はないが、法律上の親子関係を作った子です。
養子縁組という法的手続き(具体的には、養子縁組届を役所に提出します)をすると成立します。
養子は、養子縁組が成立すると法律上「実子」とほぼ同等に扱われ、次の権利を持ち、義務を負います。
ア 親子関係の成立
養親との間に法律上の親子関係が成立しますので、扶養・相続などの権利義務が発生します
イ 相続権
養親の「実子」と同じ順位で相続します。法定相続割合も「実子」とおなじです。なお、養子の実親の相続については、養子の種類によります。
【普通養子】の場合、実親の相続権も残ります
【特別養子】の場合、実親との親族関係は消滅するため相続権も消滅
ウ 扶養を受ける権利
養親から扶養を受ける権利を持ちます
未成年であれば監護・教育を受ける権利があります
エ 氏(苗字)の変更
原則として養親の氏を名乗ることになります
オ 戸籍への記載
養親の戸籍に入り、法律上の家族として扱われます
カ 養親に対する扶養義務
成人後、養親が生活困難に陥った場合は扶養義務を負います
キ 家族としての協力義務
民法上、実子と同様に「家族間の協力・扶助義務」を負います
ク 家庭内での身分上の義務
未成年養子の場合、養親の監護・教育に従う義務があります
親権の対象となり、居所指定などに従う必要があります
一方、非嫡出子は、婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことを指し、かつては相続権や姓の問題で差別的扱いがありました。2013年の最高裁判例以降、非嫡出子も嫡出子と同等の相続権が認められています。ただし、親権や扶養義務については養子と非嫡出子で扱いが異なる部分も存在するため、注意が必要です。これらの法制度は社会情勢の変化に応じて改正が続けられており、最新の判例や法律を踏まえた正確な理解が重要です。養子や非嫡出子の方が安心して権利を行使できるよう、弁護士の視点から丁寧に解説していきます。
嫡出子と非嫡出子
① 嫡出子(ちゃくしゅつし)
法律上の夫婦の間に生まれた子です。
言い換えると、「父母が婚姻している」ことを前提に「婚姻中に生まれた」子ということになります
② 非嫡出子(ひちゃくしゅつし)
婚姻していない男女の間に生まれた子です。例えば、結婚していないカップルの子とか、不倫関係で生まれた子になります。
以前は、非嫡出子は、嫡出子より、相続割合が少ないとされていました。
しかし、2013年の最高裁判所大法廷決定 2013年9月4日 非嫡出子相続差別違憲決定で、非嫡出子の相続分を少なくする規定が 違憲 とされました。その後、民法が改正され、現在では相続に関し、嫡出子と非嫡出子は同じとなっています。
③ 「認知」された子
婚姻していない男女の子について、父親が「自分の子」と認めた場合の子です。
母親との関係では、この母親が誰であるかは、「出産」という事実から明らかです。
しかし、父親については誰の子かは当然に明らかであるわけではありません。
婚姻関係中に生まれた子については、母の夫が父であろうということになりますが、婚姻関係がない場合の父親が誰かは当然に明らかではなく、父不在の状態になります。そのような時、父子関係を定めるのが「認知」です(あくまで実の父親を誰とするかであり、実の父親でない人を父親とするものではありません)
例えば、未婚の男女の子を父が認知します。
認知されると、法律上の父子関係が成立、相続権など子としての権利や義務が発生します
整理
用語の整理
実子 :血のつながりのある子
養子 :血縁はないが法律上の子
(実子 と 養子 → 血縁の有無)
嫡出子 :婚姻中の夫婦の子
非嫡出子 :婚姻外で生まれた子
(嫡出子 vs 非嫡出子 → 親が結婚しているか)
認知された子:父が法律上の子と認めた非嫡出子
認知される子は、基本的に非嫡出子です。
①非嫡出子(未婚の男女の子)
②認知されていない非嫡出子
③認知された非嫡出子
という関係になります。
養子と相続の整理
1 養子にも相続権がある
養子は、法律上は実子と同じ相続権を持ちます。
養子になると、養親の法定相続人になり、実子と同じ相続分を持つ
例
父が亡くなり、子が2人(実子1人、養子1人)の場合、
→ 子2人(実子、養子)が相続人となり、実子1/2、養子1/2となります。
2 養子は実親の相続もできる(普通養子)
普通の養子縁組では
実親との親子関係 → 残る
養親との親子関係 → 新しくできる
つまり
両方の相続が可能となります。
地主層では、時々、長男の子が、父と養子縁組をしている場合があります(おじいちゃんと養子縁組)
父:A(母は先に他界)
長男:B、次男C
長男の子で父Aの養子:D
Aが死亡すると、法定相続人は、A、B、Cの3人で法定相続割合は各1/3になります。
ところで、Aより先にBが死亡している場合、DはBの代襲相続をします。
すると、Aの相続人と相続割合は、
Bの代襲相続人としてD1/3、またD固有の権利(要旨としての相続権)で1/3、C1/3となります。
3 特別養子という特別な養子縁組の場合
特別養子は、実親との法律関係が完全に消えますので、
相続の関係では、
実親の相続はできなません
養親の相続できます
4 日本では相続税対策で養子をとることもあります。
相続人が増えると基礎控除が増えるためです(基礎控除の計算方法:3000万円 + 600万円 × 法定相続人)
民法上は養子の数に制限はありません(養子が多ければ、その分法定相続割合が小さくなります)
ただし税法では養子の人数制限があります(実子がいる場合は1人まで、実施がいない場合は2人までしか基礎控除計算の法定相続人には数えられません)。養子を増やせが基礎控除額が大きくなるとすると、相続税が不当に回避できてしまうから当然ですね。
それでも、同居の子の配偶者や子など多数の養子縁組がされるケースがあります。それは、同居の子(の家族)の相続割合を大きくして家を守ろうとするからです。翻って、同居をしていない子(相続人)からしてみれば、自分たちの相続割合が少なくされますので、不公平感・不満が大きくなります。また、合わせて特定の相続人(家族)に有利な遺言が作成されており、不公平感・不満が高まるケースが多々あります。
特定の相続人の家族が養子縁組されていると、他の相続人が有する不満不公平感から、遺産分割が紛糾する場合があります。
嫡出子と非嫡出子の相続割合は同じになったと説明しました。しかし、多くの場合で、嫡出子と非嫡出子に面識がなく、感情的な問題も絡み、遺産分割が進みにくい場合があります。
これらの場合は早めに専門家に相談されることをお勧めします。