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遺留分侵害額請求の基礎知識|遺留分制度の解説

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遺留分侵害額請求の基礎知識|遺留分制度の解説

遺留分侵害額請求の基礎知識|遺留分制度の解説

2025/02/07

遺言でも侵すことができない権利として遺留分があります。本稿では、遺留分侵害額請求の基礎知識について説明します。

遺留分制度とは

遺留分とは、被相続人が残した遺産について、特定の法定相続人(配偶者、子等)に最低限保証される権利になります。遺留分として保証される割合は、第1順位の相続人が誰であるか、また何人いるかで決まりますので、法定相続人の確定が必要です。なお、法定相続人でも、兄弟姉妹については認められません。遺留分の制度は、以前から民法で規定されていましたが、令和の大改正により大きな変更がなされました。 改正前は、各遺産に対し遺留分割合で権利を有する(例えば、不動産では、遺言で取得したも者と、遺留分減殺請求をした者の共有状態になりました)との原則でしたが、改正後は、総遺産に対し遺留分割合で計算した「金銭請求」とされました。令和2年4月1日以降に生じた相続では、改正法により慰留分侵害額請求(金銭請求)を行います。

遺留分侵害とは

例えば、父が亡くなり、第一順位の法定相続人が子(長男・長女の2人)のみのケースで考えてみます。仮に、全ての財産を長男に相続させるとの遺言が残されており、その遺言が有効であったとしても、長女には遺留分が保証されます。そこで、長女は、長男に対し、遺留分侵害額請求として「金銭請求」を行うことができます。

遺留分侵害額の計算方法

遺留分侵害額は、遺産(プラスの財産)から相続債務を控除した純遺産に、生前贈与等の特別受益を考慮するなどして算定するのが原則です。特別受益と異なり寄与分は考慮しません。この際、遺産の中に不動産が存する場合、不動産をいくらと考えるかで総遺産額が変わり、遺留分侵害額も変わってきます。不動産の評価は「時価」で計算するのが原則です。これは遺産分割事件と同じです。

遺留分侵害額請求の期限

遺留分侵害額請求をするには期限があります。相続開始と遺留分が侵害されていいることを知ってから1年以内に遺留分侵害額請求の意思表示(通常は内容証明有郵便で行い、証拠を残します)をしておく必要があります。遺留分侵害額請求の意思表示さえしておけば、具体的金額の請求や法的手続きが1年経過後でも構いません。忘れずに遺留分侵害額請求の意思表示を行っておきましょう。

遺留分侵害額請求の手続き

採取に遺留分侵害額請求の意思表示をしておく必要があることは前述の通りです。資料を揃え遺留分侵害額を計算したら、まずは交渉(裁判所外の交渉又は家庭裁判所の調停手続き)を行います。交渉で合意に至らない場合には、地方裁判所の訴訟手続きを用いる流れになります。不動産の評価と特別受益が争点になることが多いと思われます。一般的に不動産は高価な財産であり、遺産の中に占める割合が大きいので、大きく争われるケースが多いと言えます。不動産の評価については、合意できれば合意額で評価しますが、合意できない場合には最終的に裁判所の鑑定の手続きを利用します。現在の遺留分侵害額請求は純粋に「金銭請求」ですので、遺産がほぼ不動産だけであるとか、しかもその不動産に相手方居住しており処分しにくい事情があっても計算し、請求可能です。最終的に金銭として回収するところまで弁護士がお手伝いさせていただきます。